審査員推薦作品
「イーリス」
【講評】審査員:遠藤 彰子 先生
今回の南藤さんの作品は柔らかい色調の中に、様々なイメージを呼び起こされ、恐ろしいようなたのしいような不思議な表現に引きこまれました。真ん中にいる少女の夢現実の世界を全体にちりばめて作品の左側から下に向かって又上に登っていくという(昨日・今日・明日と)読んでいく絵の面白さを感じました。
審査員推薦作品
「metabolic syndrome」
【講評】審査員:大沼 映夫 先生
毎年のことだが、良い絵には説明の出来ない部分があるものです。
絵画は心の表現であって技術的に未熟であっても曖昧な部分は形として確かな形ではなくとも自信を持って表現しているのが、今回の澤田咲子さんの仕事だ。今後の発展を楽しみにしています。
審査員推薦作品
「戯れる龍」
【講評】審査員:大津 英敏 先生
今年は龍の年であり。さぞかし見事なドラゴンの絵が出品されるかと期待しておりました。案の定、多数の画面いっぱいに動く龍図の傑作が描かれておりました。中でも「戯れる龍」は描写力のある作者の力量が、中央に位置する龍の顔を描き、描写力に優る作でありながら小さく描かれた人々や、天空と思える余白が、色彩豊かに描き上げられていた。
審査員推薦作品
「世界の奏者」
【講評】審査員:高木 匡子 先生
ダイナミックな画面構成の中に内側から沸く静けさ、その中に作者の強いメッセージがひしひしと観る側に伝わってくる。
手の上のお城は国益の象徴なのだろうか、工場から排出される煙は、今世界で勃発している戦火の煙のようにも見える。天から下りる二つの手は作者自身の手であろう、どうにかして今の情勢を止めたいと言う気持ちと、天から下りる赤い糸でそれが出来ないもどかしさを感じる。手前中央には十字架がさりげなく描かれている、これ以上の犠牲者を出さないでほしいとのメッセージだろう。高校2年生の彼女は、これから羽ばたこうとしている世界を深く考え、見事に絵にした一作だと思う。