株式会社サクラクレパス

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サクラコラム

寄贈された「夏季用」クレパスの表面 大正15年頃

寄贈された「夏季用」クレパスの中身 大正15年頃

上:「かたい・夏用」 下:「やわらかい・冬用」 大正2年

ほんとのクレパス 大正3年

「大正時代のクレパスが寄贈される」

サクラアートミュージアムでは、クレパス画、油絵、水彩画、版画などの絵画作品のコレクションだけでなく、絵具の歴史を知るうえで資料となる過去から現在までのクレパス、クレヨン、水彩絵具、油絵具などの描画材料も収集・保存しています。

描画材料コレクションのなかでも、(株)サクラクレパスの社史にとって重要な意味を持っているのがクレパスです。クレパスは(株)サクラクレパスが開発した世界初になる画期的な描画材料でした。商標「クレパス」は、大正13年5月6日に出願、大正14年2月27日に登録されました。その製造法は大正14年10月28日に出願、大正15年8月19日に特許となっています。

クレパス「かたい」夏用、「やわらかい」冬用の歴史

平成3年に創業70周年を記念して発刊された社史『サクラクレパスの七十年』には、クレパスの開発経緯について

"当初は製造面では大変な苦労がありました。クレパスはヤシ油、硬化油など油脂類を使用するので、寒暑の影響を受けることが多くて、最初は四季一定の硬度を保つことが困難でした。
そこで、「かたい・夏用」「やわらかい・冬用」として二種類のクレパスを製造、発売しました。代理店から問屋へ、また小売店へ、さらに消費者にと販売ルートに乗っているうち、一部に時季ズレが生じ、折角の苦心も逆の結果となり、夏に買った硬性のものは冬に一層かたくなって使いものにならず、冬に買ったものは夏には溶けてやわらかすぎるという苦情が続出しました。製品の流れの時間を入れなかった最初の大失敗でした。問屋から、代理店から、時季ズレの製品が続々と返品されてきます。
製品はできない、金融は逼迫する佐々木社長は苦境に追い込まれました。しかし、佐々木は期するところがあって、断固、市場に出回っている製品の回収を敢行し、地にまみれた信用に挽回をはかりました。佐々木の期するところは、寒暑の影響を受けることの少ないクレパスの創製であって、これに精魂を傾けていました。幸いにして、この夢は新しく入社した井上源治郎技師(後の専務取締役、技術最高顧問)によって実現し、夏冬ともに使えるクレパスの誕生をみて、昭和三年六月一日より改良品を発売しています。"

と著されています。

社史に著されている、大正14年に新発売したクレパスと、「かたい・夏用」と「やわらかい・冬用」のクレパスの現物はありません。また、昭和62年当時流行していたレトロブームで「復刻版クレパス」を発売していますが、この復刻版のモデルとなった「ほんとのクレパス」でさえ一般の方が所有されていたものをお借りしたもので、社内には創業時から戦前までのクレパスというのは残念なことにありませんでした。


クレパス「夏期用」が寄贈される

それら幻のままであったクレパスのうち、箱に「夏期用」という文字の入った古そうなクレパスが寄贈されたのです。ご寄贈くださいましたのは、(株)東宝映像美術の渡部正昭様です。渡部様は、詩人の金子みすヾ生誕100年を記念して山口県長門市仙崎に創設する「金子みすヾ記念館」の展示資料の制作にかかわられ、大正・昭和初期の書店・文具店を再現するため、サクラアートミュージアムへ古い時代の画材や資料の調査で来館されたのでした。さらに、各地の骨董市などにも出かけられて昔の筆記具、文房具、画材を探されていたそうです。そうした調査を行なっているうちに、このクレパスを骨董市で発見されたのだそうです。

「夏期用」クレパスを検証する

このクレパスは、8色セット(注1)です。箱のラベル(注2)に記されている「合名会社大阪櫻商曾」と「夏期用」(注3)の文言と、社章(注4)から、大正15年頃のものではないかと推測されます。

注1)
8色セットについては、大正14年に発刊された月刊雑誌『アトリエ』11月号に初めてクレパスの商品広告が掲載され、8色・12色・16色・24色の各セットの「櫻クレパス」を「大阪櫻商曾」が発売したとあります。

注2)
社名に「合名会社櫻商曾」を使用していた期間は大正15年9月11日~昭和4年11月30日までです。

注3)
夏冬ともに使えるクレパスは昭和3年に改良して発売されているので、「夏期用」はそれ以前のものです。さらに、社史には「かたい」「やわらかい」の表示については記載されていますが、「夏期用」という表示については言及されていません。おそらくは、この「夏期用」の表示は、「かたい」「やわらかい」より以前のものではないかと思われます。

推測の域をでませんが、最初は漢字表示で発売したが、子供はまだ漢字が読めないのでひらかな表示に変えたのではないかということ。また、「夏期用」の表示では夏に限定されますが、硬度で表示すれば夏期・冬期に限定されずに、ある意味ではあいまいにできるのではないかと表示変更をしたと考えられます。前掲した大正14年11月号『アトリエ』掲載広告がクレパス発売の最初の広告であれば、大正14年の秋頃(11月号ならば10月号には入稿している)に「冬期用」があったかどうかは不明)が新発売され、その後、初めて迎える大正15年の夏に「夏期用」が発売されたことになります。

注4)
この桜の花の形をしている社章は、大正14年~昭和5年頃まで使用されていたことが会社の資料からわかりました。



以上のような検証を行って、おそらく大正15年に売られていたクレパスであろうという結論に至りました。この「夏期用」クレパスが市場に出回っていた時期はかなり短く、長くとも1年間程度だったのではないかと思われます。このように考えると、たいへん稀少なクレパスでもあるのです。西村貞一社長、西村四郎相談役、企画部の山本良一嘱託、知財管理室の長岡隆一郎主事にもご協力をいただいて検証しました。この記事をお読みくださいました皆様のなかに、とくに弊社OBの皆様方で「夏期用」クレパスをご存知であるとか、古いクレパスに関する情報をお持ちでしたら、サクラアートミュージアムへご一報くださいますようお願い申し上げます。

サクラアートミュージアム 主任学芸員
清水靖子(サクラクレパス)

参考経緯

大正10年5月29日 日本クレィヨン商曾 設立
同 9月1日 櫻クレィヨン商曾 改称
大正13年3月20日 合名曾社櫻クレィヨン商曾 合名会社に改組・改称
同 5月6日 商標「クレパス」出願
大正14年2月27日 商標「クレパス」登録
同 10月28日 クレパス製造法特許出願
大正14年11月 クレパス広告掲載(月刊『アトリエ』)
大正15年8月19日 クレパス製造法特許登録
同 9月11日 合名曾社櫻商曾 設立・改称
昭和3年6月1日 四季一定品「ほんとのクレパス」発売開始

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