審査員推薦作品
「夜の廊下」
【講評】審査員:遠藤 彰子 先生
左側からほのかに光が差す長くのびた廊下。扉の向こうにどんな世界があるのか、不安と期待を感じる不思議な作品です。読んだばかりの本がぐにゃりと無造作に置かれているのもリアリティを感じます。日常的なものを上手く絵に取り入れて、つまずきながらも前に進んで行こうという意志が画面から伝わり見えた瞬間に頭から離れない一枚の絵でした。
審査員推薦作品「夜の廊下」
審査員推薦作品
「星の上から」
【講評】審査員:山本 貞 先生
題名から想像すると、はるかな宇宙のどこかで、まるでノアの方舟のように、選ばれた人間、生物が中央には有機体のような窓があって、そこからはるかな母なる地球を眺めている。ライオンだけが最後の威厳を示すかのように吠えている。ケント紙にほぼ木炭で描かれたものだけど描写は荒々しい。しかしそんなことより、この絵のイメージが作者から伝わってくる。絵のイメージがストレートに伝わってくれば他のことはどうでもいいようなものだ。君はイメージに満ちた人だ、それに少々野性味のある才能が、これからの人生を豊かにしていくだろう。
審査員推薦作品「星の上から」
審査員推薦作品
「帰路」
【講評】審査員:大沼 映夫 先生
画面全体が赤い作品で審査会場でもひときわ目立っていたように思った。特に画面を四角で区切り少しずつ変化のある赤色のリズムが深い意味を内包している様で、表現と技術に調和があり全体に赤い画面を見事に作り上げた秀作である。
審査員推薦作品「帰路」
審査員推薦作品
「暗がりのヒーロー」
【講評】審査員:大津 英敏 先生
ほの明るい建造物の通路の壁をキャンバスに見たてて描く若い男性は、思い切りのよい筆づかいで、抽象的な絵画を試みている。奥の倉庫のような描写や、右のモーターバイクと天井のパイプなどから、この絵の作者の豊かな絵心が伝わってくるようです。描かれている壁が明るくて、画面やや右中央に立つ若い画家の情景は、あたかもオランダの画家レンブラントの絵を想い起させるものがある。
審査員推薦作品「暗がりのヒーロー」